減価する貨幣とは?

インフレと減価する貨幣の違い

Posted on: 2009年 2月 5日

減価する貨幣の話をすると、よくインフレとどのように違うのかという質問を受ける。確かに両者とも手元にお金を置いたままにしていると損する点では一致しているが、それ以外にいくつかの違いがある。

アルゼンチン在住時にデフレやインフレによる経済混乱の深刻さを目の当たりにしたシルビオ・ゲゼルは、何よりも物価の安定こそが重要だと考えた。デフレの場合には物価が下落傾向になることから販売が縮小し、また仕入れ値と売値の間のマージンが減るため商業が大打撃を受ける一方で、インフレになると物価が上昇するため消費者は消費を急ぐことになるが、通貨価値が下落することから価値尺度としての貨幣の機能が損なわれる。特にハイパーインフレになり、インフレ率自体が急速に上昇するような状況では、将来の物価水準を予想できないことから適切な利率の設定が不可能となる(現在のジンバブエはその好例)。

それに対し、減価する貨幣自体はインフレともデフレとも関係ないシステムである。減価により減少したぶんの通貨供給量を政府通貨局が再発行することで通貨発行量を調整し、物価を安定させることによりインフレやデフレを根絶できる、とシルビオ・ゲゼルは考えていた。もちろん今の通貨システムはもっと複雑なのでそう単純には行かないことだろうが、仮にそのような通貨ができたと考えると、価値尺度としての機能は損なわれないことになる。ただ、現在の日本円であれば銀行に預金しておくと利子がつくのに対し、減価する貨幣の場合には逆に減価手数料が差し引かれる点が違いといえる(通貨というサービスの使用料が徴収するされると考えるとわかりやすいだろう)。

減価する貨幣の基本的な考え方は、インフレもデフレもない社会であれば1万円札はずっと同じ経済的価値を保ち続けるが、1万円の価値のあるリンゴを放っておくと腐ってしまって商品価値を失ってしまうため、同じ経済価値のあるものでも通貨のほうが商品よりも有利であることがわかる。このため、通貨を十分に持っている人が通貨を持っていない人に貸し出す場合、金利という手数料を徴収することができるが、考えてみればこれは貧しい人間から金持ちへの富の再配分という、社会正義上非常に疑念の余地のある制度であることは言うまでもない。

しかし、減価する貨幣を導入すると、少なくてもタンス預金はできなくなる。たとえばオーストリアのヴェルグル(Wörgl)という街で1932年から1933年にかけて流通した地域通貨の例では、新しい月になるたびに額面の1%(1万円札なら100円、1000円札なら10円)のスタンプを買って貼らないと無効になったが、このような金銭を仮に100万円、1年間タンス預金していた場合、12万円分のスタンプを買わないといけないため実質上88万円にまで減価してしまう。そのぐらいであれば、95万円しか返してもらえなくても誰かに貸しつけたほうが、タンス預金をするよりもましになる。こうすることで誰も金銭を退蔵することがなくなり、経済が活性化するようになるというわけである。また、これにより現金を持っている人が有利な社会制度が崩れ、事業を起こす人間に有利な金利制度ができれば、今までであれば採算の関係上不可能であったさまざまな事業が経済的に実現可能になり、より人類の福祉につながることであろう。

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