減価する貨幣とは?

連帯経済の関連から減価する貨幣を考える

Posted on: 2009年 6月 5日

私は減価する貨幣の他に、連帯経済という分野にも取り組んでいる。と言っても、日本では連帯経済を知らない人が多いので、とりあえず入門編の議論から始めたい。なお、連帯経済についてある程度の予備知識がある方は、以下*** ***で囲まれている部分は読み飛ばしてかまわない。

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連帯経済をひとことで定義するなら

「社会や地球環境にも配慮した経済活動の総称」

となるが、実際には以下のような活動の総称である。

  • 生産協同組合: 普通の私企業の場合は株主利益の最大化が経営の目的なので従業員に十分な配慮がされないが、生産協同組合の場合は労働者=出資者なので、労働者第一主義の経営が可能。
  • NPO: 生産協同組合と同様の理由(株主利益を最大化する必要がない)で、連帯経済の一部とみなされる。
  • フェアトレード: 途上国のコーヒー農家や民芸品職人などの収入が増えるよう、あえてコーヒーや民芸品などを高く買う運動。
  • 社会挿入企業/NPO: 職をなかなか得られず社会疎外の危険性が高い人たち(高校中退者、長期失業者、移民、女性など)に職業訓練を施し、彼らが手に職を得られるようにする活 動。日本でも同様の取り組みはあるが、フランスやスペインなどではこれらの企業がある程度ネットワークを形成しているような気がする(私もこの部門での国 際比較を行えるほど知識があるわけではないが)。また韓国では、社会的企業育成法という法律がある。韓国の社会的企業育成法についての資料(日本語): http://jicr.roukyou.gr.jp/old/kenkyukai/070125/070125koreaSEL.pdf
  • オープンソース: IT化が進む現在、OSやWORDなどのソフトは基本財の一部と考えられるようになっているが、これらのソフトウェアを営利企業(特にマイクロソフト)で はなく、プログラマらによるボランティアベースで提供する運動(と私は理解しているが、専門家の方にはきちんとした定義をお願いしたい)。Linuxやオープンオフィスがこの代表例で、ブラジルでは役所や学校のパソコンに Linuxを導入しているところもあるらしい(私も詳しくは知らないが)
  • 市民参加型予算: ブラジルのポルトアレグレ市(第1回世界社会フォーラムの開催地)で始まり、南米やヨーロッパで広がった運動。大都市であれば地区ごとに(小学校区レベ ル)市の予算を配分した上で、住民集会でその予算で何をするかを決める取り組み。日本では埼玉県志木市で実践されていた(市長が代わってこの実践はなく なったらしい)。 参考資料: http://www.tottori-torc.or.jp/torc_report/report26_pdf/matsudam.pdf
  • 連帯金融: 上記の活動などへの融資を目的として市民が設立した銀行。イタリアの倫理銀行やオランダのトリオドス銀行などが有名。普通の銀行に預金すると、そのお金がどの企業のどの事業に使われるのかわからないが(もしかしたら私のお金が兵器を生産する企業に融資され ているかもしれない)、こういう銀行を通じて連帯経済を推進できる。日本ではNPOバンクという表現が使われており、名古屋のモモバンクなどが有名。
  • 補完通貨: 日本円やユーロなどとは別に、市民社会の手により独自通貨を発行・流通・管理する運動。ほとんどの実践例は蚤の市程度の交換に終わっているが、スイスのWIR銀行(http://www.wir.ch/ )やブラジルのパルマス銀行(http://www.bancopalmas.org.br/ )は実際に経済面での成果も挙げている(WIR銀行は独自通貨WIRにより低利融資を実現し中小企業の経営をサポート、パルマス銀行は同様の融資によりスラム街で雇用創出を実現)。

現在の新自由主義型資本主義で貧富の差の拡大や環境破壊などの問題が起きているが、これらの問題に対処するには資本の論理で動く既存の経済機構と は異なったものが必要となる。相変わらず小泉・竹中型の議論が主流となり、経済的弱者の状況も全て「自己責任」ととらえられがちな日本で、どれだけこうい う議論が広まるかわからないが、11月7日(土)~10日(火)に東京で開催予定の第2回アジア連帯経済フォーラムがその突破口になってくれることを期待している。

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さて、このような連帯経済の推進にあたって、減価する貨幣がどのような役割を果たすことになるかについて考えてみたい。

現行の減価しない貨幣の場合には、すでに多額の資金を保有する人は、その資産を銀行に預け入れることにより利子生活者となることができるが、その一方で資金難に苦しむ人は、銀行からお金を借りて利子を含めて返済しなければならず、金持ちに有利な形で富の再分配が行われる。しかし、減価する貨幣を導入することにより、このような通貨制度上の不正を是正することができ、貧しい人が借金苦に喘ぐ必要のない社会を築くことができる。

また、ここでも書いたが、現在の通貨システムでは、どうしても長期的な事業に資金が回らないようになっている。このブログでは日本の政治家の関心を引くように、地下鉄や高速道路といった土建工事の事例を挙げたが、仮に減価する貨幣を導入すれば、学校教育やサハラ砂漠の緑化などといった事業も採算に乗るようになる。金持ちに金利という上納金を支払う必要のない減価する貨幣を導入することにより、連帯経済のもう一つの目的である環境保護関連の事業も実現性が上がり、数多くの事業が採算に乗るようになるだろう。

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