減価する貨幣とは?

政府貨幣は政府の負債

Posted on: 2009年 2月 3日

2月1日に菅義偉元総務相が政府貨幣について賛成する発言を行い(詳細はこちら)、首相や日銀総裁までがさまざまな意見を出している。

政府貨幣というと特殊なもののように聞こえるが、要は他の商品券やポイントカードなどと本質は変わらないものである。ちょっと考えてみよう。

一例として、図書カード(以前の図書券に相当)について考えてみよう。普通図書カードは、以下のような形で使われている。

  1. A書店が5000円分の図書カードを、取次から4750円で仕入れ。
  2. B氏がA書店に5000円支払って図書カードを購入。
  3. B氏はC氏に図書カードをプレゼント。
  4. C氏はD書店で図書カードを使用。
  5. D書店は図書カードの使用記録をもとに、取次から4750円ぶん本を無料仕入れ。

このような図書カードを誰もが受け取るのは、5000円ぶんの本と交換できるからである。つまり、図書カードが金券として流通するのは、その額面ぶんの本が担保としてあるからである。

では、政府貨幣の場合にはどうなるだろうか。今のところ詳細が発表されていないので何とも言えないが、最低でも以下のような形にしなければならないだろう。

  1. 政府は公共事業(たとえば国道の補修工事)の代金の一部として、政府貨幣を発行(デザインは日銀券とは別)。
  2. 政府貨幣を受け取った建設業者は、従業員への給料や建材の仕入れ費用などとして政府貨幣を使用。
  3. やがて、国税や国立大学の授業料などとして、国民や企業などが納税/納付。

この場合、国税の納税手段や国立大学の授業料の支払い手段として使えることが、政府貨幣の担保になるわけである。政府にとっては政府貨幣は負債、言い換えれば無利息の国債を発行になるわけだから、そのぶんだけ負債額が増えることになる。もちろん国債と違って、いついつまでにいくら返済する義務があるというものではないが、それでも自分が発行した通貨をどこかで引き取らなければ、ただ乗りになってしまう危険性がある。実際、太平洋戦争中に東南アジア各地で使われた軍票は、日本の敗戦とともにただの紙切れとなってしまっている。

政府貨幣が第2の軍票とならないようにするためには、それなりに政府の行動を監視する必要があるが、今の日本政府は政府貨幣を発行できるだけの信用があるものなのか、これから見極めていきたい。

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